SSブログ

第1章17 [宇宙人になっちまった]

「一回目のDNA分析を信じるなら君は今の状態でも地球外の何かと共通するものがあって宇宙人とも言えるだろう。しかし、百%というわけではない。君たちのDNAのほとんどは私たちと同じで、僅かのDNAが地球外の未知のDNAということだ。その未知のDNAがサードブレインを育てているとするなら、成長とともに何かが見えてくるんじゃないかな。しかしね、宇宙人と言っても、怪物になるわけじゃないからね、パルカスの頭蓋骨だって頭以外は通常の人間と同じだからね。君たちのコブはかなり小さいから容姿は今と殆ど変わらないと思う。だからそんなに心配する必要は無いよ」
 ドクターが話し終えると、待っていたように浜辺が話し始めた。
「僕たちの身体に地球外の何者かの血が混じっているというのは、正直なところ半信半疑です。だけど僕は真実を確かめたいので先生に協力します。それと一つ質問があります。地球外のDNAというのは、どうやって僕の身体にやってきたのかそれが知りたいです。父親か母親のどちらかですか?」
 浜辺は父のいない家庭で育てられ父親の記憶が無かった。
「遺伝学上はそうなるだろう。君のお母さんは主治医として昔から知っているが、特に変わったところもないし、可能性から言えば父親由来かも知れない。
 実はまだ話していなかったが、石川君からもう一つ知らされていることがあって、それは君たちの父親のことなんだ。つまり、ここにいるみんなは全員血が繋がっているんだ。父親が同じだということだ」
 ドクターは衝撃的な話を唐突に、しかも夕食の献立でも知らせるように話した。それはドクター特有の、感情を出さないようにする配慮なのかも知れないが、その瞬間室内から音が消えた。誰もがドクターの言葉をもう一度頭の中で繰り返し、そしてゆっくり顔を動かしお互いの表情を確かめるように見合った。
「え~っと、その~、誰か父親のことを話してくれますか?」
 浜辺が皆の顔をゆっくり見ながら訊いた。しかし誰もお互いの顔を見るだけで話そうとしない。
「え、誰も、いないの、父親のこと知らないってこと?」
 浜辺は焦るように訊いたが、先ほどと同じで誰も話そうとする人はいない。浜辺は絶句したままゆっくり腰を下ろした。ようやくどこからともなくざわざわと話し声が聞こえ始めた。

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

第1章16第1章18 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。