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トランス(2) [小説 < ブレインハッカー >]

バシャールペーパーバック〈1〉ワクワクが人生の道標となる。  VOICE新書 バシャールペーパーバック〈1〉ワクワクが人生の道標となる。 VOICE新書 (新書)
ダリル アンカ (著), Darryl Anka (原著), 関野 直行 (翻訳)
古典にして永遠のスタンダード。。
真理は時を経ても色あせないものだなと感じました。
自分の存在をさまざまな視点から見つめてみることで
こころが軽くなり何か救われるココチがしました。(レビューより)

不思議な本・私には良書です。理念を具現へ・・・これは本人次第。

 

 

                                  トランス(2)

 西山は先にシャワールームから出ると、ベッドに入って翔子を待った。今夜翔子がエクスタシーからトランス状態に入れるかどうか、全て西山次第である。トランスに入った翔子は信じられないような力を発揮することがあるのだ。

 西山は細心の丁寧さと優しさで翔子を愛撫し、そのときを待った。次第に激しさを増す翔子を巧みにエクスタシーの極みに誘導すると、ついにトランスに入った。翔子は身体をぶるぶる震わせながら何かを呟いている。やがて翔子は落ち着きを取り戻し短い眠りに入った。

 西山は眠った翔子をベッドに残すと、カーテンを少し開け窓の外に目を向けた。高層から見る星は美しいが西山にはそうは見えない。美しい星も近くにいけばそれは灼熱の地獄なのだ。

 流れ星も美しいが、近くに行けばそれは醜く焼け爛れた巨大な岩に過ぎない。西山には全ての美しいものの真実は、醜く汚れたものに思える。この世に美しいものなどないのだ。あるのは欲望と争いだけだと思っていた。ならば、自分の欲望を満たし争いに勝つことが人生を生きることだと思えるのだ。

 翔子が目覚め薄目を開けた。
「どうだ」
 と西山が問いかけると、だるそうに身体を起こしながら、
「達夫は戦うつもりよ、きっと研究所に行くね。間違いない」
 と、天井を見上げながら言った。
「どちらが勝つ?」
 と訊くと、翔子はしばらく考えていたが、
「わからないよ、でも達夫の未来はそれ以上見えなかったから…………」
「達夫に未来は無いってことだな」

 西山は確かめるように言うと満足そうに頷いた。
翔子は時々予知能力をも発揮する。恐ろしい勢いで力を増しているのだ。今までも何度か経験がありほとんど外れたことが無い。トランスになるのに薬物を使ったりすることもあるが、エクスタシーの果ての方が後遺症も残らず確実だった。

 

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