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第4章4 [メロディー・ガルドーに誘われて]


「生身の温かさって、それじゃまるで生きてるみたいな言い方だね」
 カズが冗談半分で言うと、
「そうよ、その通りだわ、生きてるのよ、この青い石は生きてるの。だから温かい感じが伝わるのね」
 希良は大発見でもしたように言った。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ、それじゃこの青くて堅い塊が生物だって言うのかい、目も鼻も口もないよ、どう見たってこれは物だよ、固形物で間違いないよ」
 カズは青い石を手に乗せ、希良の顔の前で見せた。
「確かに見た目は石ね、ただの青い石だわ。だけど見た目じゃわからないわ、目を閉じるとね、全然違う感覚が伝わってくるの。もう一度試していいかしら」
 希良はカズから青い石を受け取り、両手で包むようにすると目を閉じた。その様子を皆が黙って見つめている。しばらくすると顔の表情が緩んでくるのがわかり、口角がほんの少し動いて微笑んでいるように見えた。
「この石は絶対生きてるわ、とってもいい気分よ」
 希良はそう言うと、青い石を手の中から出して、丁寧にテーブルの上に置いた。
「なんだか面白くなってきたぞ、俺には綺麗な青い石にしか見えないけど、みんなはまるで生きてるように感じるんだね」
 カズはそう言うと、もう一度石に顔を近づけて観察したが、俺には難しいと言って旨そうにコーヒーを飲んだ。
「この石を使うのよ、この石で異星人と交流しようと思うの」
 紗羅が言った。
「この青い石で? どうやって?」
 希良が訊いた。
「私たちでさえ、この石に特別な何かを感じるのよ、持ち主の異星人ならどこにいたってたちどころにこの石を見つけると思うわ。そうすればこの石のところへ必ずやってくると思うわ。で、具体的な方法はね、例のイタいやり方よ。みんなで空に向かっておいでおいでをするの。どうかしら」
 紗羅は両手を万歳のようにしながら言うと、
「そんなの絶対人に見られたくないし、仲間内でも恥ずかしいよ」
 高校生コンビの由美と健太郎が口を揃えて言うと、他のメンバーも困ったような顔で、積極的に賛成してくれる者は誰もいなかった。

タグ:UFO
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