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第4章6  第5章1 [メロディー・ガルドーに誘われて]


「真面目な話なんだけど、本当にUFOが俺たちの目の前に着陸したらどうするの? 紗羅たちはなんて言うか、UFOと顔見知りというかとにかく初対面じゃないんだろう、でも俺とみち代さんはUFOに認められていないんだよ。そうなると危険じゃないかな」
 カズが小さな声で訊いた。
「大丈夫よ、殺されたりしないわ。カズは怖いの?」
「そりゃ怖いのが当たり前だろう、捕まって人体実験なんかにされるのはご免だからね」
「私はなんでもオーケーよ、何なら妊娠したっていいわ。地球上で初めて異星人とのハーフを生むのよ」
 みち代はカズを見ながら楽しそうに言った。どうやらこの集まりの中で不安を感じているのはカズ一人で、みんなは五月の裏山行きを楽しみにしているようだ。
       
              第五章
   
 カズの車を先頭に高速をひた走り、午後早くに祖父母宅に着くと、挨拶もそこそこに全員で裏山へ向かった。祐介を先頭に若いメンバーは快調に進んでいるが、カズとみち代は笹が邪魔だとか、気持ち悪い虫がいるとかブツブツ言いながら少し遅れて進んでいる。全員が頂上の広場に立つと、祐介はここで慎太郎君とUFOを見たことを話し、そしておそらくこの場所で慎太郎君がいなくなったであろうことも話した。誰も口を開かず辺りを見廻している。やはりこの場所の不思議さを感じ取っているのだろう。
「確かに何かが変だね。ここがUFOの着陸場所だよって言われたら俺は信じるね」
 カズが足下の小石を踏みながら言った。
「ここで始めるのね」
 みち代が訊くと、紗羅は広場の真ん中に風呂敷ほどの大きさの布を広げた。複雑な模様の刺繍が施され、中南米産のように見える。その上に例の青い石を静かに置いた。
「準備オーケーよ、この石を中心にして座って下さい」
 紗羅が言うと、それぞれバッグから携帯用のクッションを出して座った。お互いの顔を見て気恥ずかしそうに苦笑している。

タグ:UFO
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