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第4章5 [メロディー・ガルドーに誘われて]


「わかったわ、おいでおいではしないけど、この石は使うわよ。この石を淳子さんに持たせたのは、私たちと異星人が繋がるツールとして持たせたような気がするの。もっともっと秘密が隠されていると思うけど、今は連絡手段として使ってみてはどうかしら」
 紗羅はそう言うと、UFOを呼ぶ場所として祐介と行った裏山を提案した。あの場所なら人が来ることは滅多にないだろうし、UFOに来てもらうにはあれ以上の場所を思いつかない。マンション屋上でもいいけど、大人数で行くと目立ってしまう。ならば、遠いけど、あの裏山なら誰に遠慮することなくやりたいようにできる。
 紗羅の提案に皆はしばらく考えていたが、他に適切な場所がなく、遠いが裏山に決まった。ただ石を持って行き、全員で裏山に登るだけだ。紗羅が言うには、全員で丸く輪になり、その中心に青い石を置くだけのようだ。後は心の中で念じるだけらしい。テレビの特番でやっていたのとほとんど一緒だ。しかし、自分がUFOに呼ばれた感覚は強く記憶に残っていて、呼べば来てくれそうな気がするのは紗羅だけではなさそうだ。
 日程は五月中旬の土曜の早朝に出発と決まった。高速を使えば午後には裏山に登ることができるだろう。カズの車にみち代と紗羅と祐介が同乗し、近藤功夫のワゴン車に残りのメンバーが乗ることになった。その日の宿はもちろん祐介の祖父母宅になった。
 当面の予定が決まり、カズがビールを用意し、高校生はだめだぞと言いながら、それぞれの前にコップを置いた。みち代はピザを焼き始めている。
「UFO好きの変わり者の集まりだと思ってたけど、立派な若者ばかりでちょっと驚いたよ。どうやらこの中で一番の変わり者は俺のようだな」
 カズはそう言うと、皆に酒を勧めた。テーブル上には数種類の酒が並び、久しぶりの酒盛りにカズは嬉しそうだ。
「最近はUFOって言わないみたいだけど、そんなことはどうでもいいんだ。僕にとっては間違いなく未確認飛行物体で、空中現象でも、異常現象でもないんだ。だって、頭の上で静止していたんだよ。間違いなく飛行物体だね。あんなの見たらさ、国同士が領土を争って戦争なんてほんとに馬鹿馬鹿しく思えるよね」
 高校生の汐見健太郎が言った。
「私は嫌なことがあると空を見上げて目を閉じるの、室内だったら天井だけどね。そして円盤のことを思い浮かべるの。そしたら大抵のことはちっぽけなことのような気がしてとても楽になるわ」
 由香が言うと、何人かが頷いている。このサークルのあるあるなのかも知れない。

タグ:UFO
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