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計画(5) [小説<物体>]

                              計画(5)

「一体ヤツらは何者で、何がしたいの?」
 俺が訊くと、栄二君はしばらく考えていたが、
「今は正体不明だけど……でもはっきりしてるのは、意志を持っていることと、人間を嫌っていること。それに生命体だってこと。もしかしたら形のない生命の方が一般的で、僕たちみたいに重い身体を持っている方がこの宇宙では珍しい特殊な形かも知れないって思う。人間は宇宙の天然記念物だったりして」
 栄二君はふざけて笑ったが、信じられないような事ばかり目にしてきた俺には本当のことのように思える。
「人類は宇宙のシーランスみたいなものだな。生きてるだけでも珍しい」
 工藤さんもそう言って笑ったが、俺にはそんな余裕はないし何の計画も思いつかない。
「冗談言ってる場合じゃないでしょう、これからどうしますか?」
 俺が急かすように言うと、
「とにかくアイツではわかりにくい。名前を決めよう、ユーマでどうかね」
「未確認生物のことですね。いいですよ」
 栄二君が言った。
「そのユーマの意識とか感情を感じるのなら、こっちの気持ちも伝わったりするの?」
 俺が訊くと、
「おそらく……理解しているでしょう」
「透明人間みたいな感じなの?」
「まぁ、分かりやすく言うとそんな感じですね。でも恐ろしいほどの力があるんです」
 栄二君はあっさり言うが、これはとんでもない話だ。一瞬で人間を消してしまうほどのパワーを持つ透明人間がいて、しかも人間を憎んでいる。
「今のところ、お手上げだね」
 工藤さんが言った。
「諦めるのはまだ早いですよ。今日集まったメンバーは凄いですから。きっとなにかいい方法が見つかると思います」
 栄二君はそう言うと、仲間のいる方へ行き話し合いを始めた。俺と工藤さんもテーブルの端に座り成り行きを見守った。俺たちも危機感を感じているが、栄二君たちはもっと切実に感じているのかも知れない。それにユーマの憎悪に直接晒されているのかも知れない。
 先ほど分けたチーム別に座り、それぞれ自分たちのチームに出来ることを相談し合っている。見ているとまるでホームルームの話し合いのようだ。チームは三つに分かれていて、マー君のいるチームは、みんな感性が鋭く、ユーマの行動をいち早く察知できるらしい。
 早苗ちゃんのチームはそれぞれマイペースでまとまりがないように見える。話を聞いていると、どうやら生気を出す力がとても強く、命を脅かすものを近寄らせないことが出来るらしい。もう一つは栄二君のチームだが、何か特別な力があるような話は聞こえてこない。
 話がまとまったらしい。マー君のチームは、ユーマの情報をかなり詳しく知ることが出来るらしい。しかしそのためには、ある程度の距離まで近づく必要があるようだ。早苗ちゃんのチームは、皆の気持ちを合わせたり、生気のエネルギーを増幅させることが出来ると話した。

 

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