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計画(10) [小説<物体>]

                        計画(10)

 栄二君はマー君を見ながら言ったが、マー君以上のことは分からないようだ。
「俺たちを憎んでいて、透明人間みたいで、エネルギーがあるヤツ? 一体何者なんだよ」
 俺は窓の外を見ながら吐き捨てるように言った。

「神だね」
 工藤さんが、俺と同じように外を見ながら言った。
「かみって、あの神様のこと? 宇宙と人間を生み出した創造主?」
 祐子が訊いた。
「他に言いようがない。人類誕生から昨日までは味方だったかも知れない。でも今日からは敵だね。きっと審判を下したのだろう。東洋的に言うなら仏の顔も三度まで。四度目は地獄へ真っ逆さまだ。全能の神は現実に存在したということだろう。その神は地球の上でありとあらゆる実験をしたに違いない。遺伝子操作で思いつく限りの生き物を作り、そして滅ぼしまた新たな生き物を作り出した。オロチやツリーチルドレンは最新作で、最後かも知れない。人間はその中で一番良くできた作品で、神の仕事を任せられる存在に育てようと期待したのだろう。でも裏切られた。肉体を持たない生命体には、肉体を持つ人間の複雑さが理解できなかったと思う」
 工藤さんはそこまで話すと小さく息を吐いた。

「なんでそんなことが分かるの?」
 祐子が不思議そうに訊いた。
「祐子さんにも分かっているはずだよ。一緒に行ったでしょう、あの場所へ」
 祐子はそう言われて首を傾げるようにした。
「私が感じたのはユーマのぼんやりした存在感かしら。あぁ、こういう命もあるのねって思っただけだったわ」
 祐子がそう言うと、
「きっと分かっている。祐介君もね。まだ脳みそが慌てて混乱しているだけで、そのうち、ああそうかって思うよ」
 工藤さんはそう言うと窓の外を見ながら続きを話し始めた。

「上には上がいるって言うだろう、神の上にはもっと大きな神がいて、どこまでも続く。つまり宇宙の数だけ神がいるってことになる。宇宙は神様で溢れている。実在の神がね」

「ちょっと待って下さい、実在の神って言われても分からないし、敵になったり味方になったりするって変でしょう? 要するに形の見えない宇宙人か何かのお節介じゃないんですか?」

 俺は工藤さんにそう言うと、皆の考えを確かめるように見回した。 

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