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第2章10 第3章01 [宇宙人になっちまった]

 ドクターは話し終えると皆の表情を観察した。不安そうな表情を浮かべている者もいるが、大半は高揚した表情だ。悪魔を見たことよりも美しい地球を眺めたことが印象としては強かったのだろう。まだ誰もこの会の重要性に気づいていないし、自分がどんな存在なのかも理解してない。ドクターも予感めいた感覚は持っていても、この小さな集団の可能性と秘めた力を知らない。
 ドクターは他に意見のないことを確かめると、地域を四つのグループに分けた。どのグループも四人になり、リーダーを決め連絡方法など様々な情報を的確に共有できる体制を決めた。山谷敬一、風見陽介、安藤夢実、梅原絵里子は同じグループになり、浜辺青磁は隣の地域のグループになった。絵里子はがっかりした表情を夢実に見つかり、さりげなくなだめられた。これからは毎週出会えるのだからとポジティブに納得したようだ。絵里子の頭は今まで通り恋愛優位の脳細胞で変わりそうにない。一週間後の日曜日、同じ時間に浜辺とここで会えることが一番の楽しみになった。
      第三章
 山谷敬一はグループの三人と同じ駅を利用している。西口側が敬一と陽介、東口側は夢実と絵里子の生活エリアになる。このグループのリーダーは陽介で、早速四人でファミレスに寄って相談することにした。他のグループは全員がサードブレインだが、ここは二人がノーマルなのだ。その二人も陽介はネットにしか興味が無く、絵里子は恋愛が全てに優先する。
「誰か今日のこと撮った?」
 席に着くと待ちかねたように陽介が訊いた。だが期待したような返事はなく、互いに顔を見合わせるだけだ。
「誰も撮ってないのかぁ、あれば世界中に拡散チャンスなのに惜しい!」
「俺たちの会は撮影禁止でネットは絶対ダメだからな。俺たちの立場ってめっちゃ危険なんだぞ」
 敬一が陽介を睨みながら本気で注意すると、少し反省したようで静かになった。
「私たちあと数時間でサードブレインが完成するみたいだけど、何か感じる?」
 夢実が不安そうな顔で敬一に訊いた。

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