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研究所(2) [小説 < ブレインハッカー >]

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                                    研究所(2)

 建物の中にはボディガードがいるはずである。通常は研究エリア入り口の小部屋に待機しているが、夜間は分からない。慎重に廊下を進むとロビーが見えてきた。ここを中心に食堂や娯楽施設が配置され、ちょっとしたホテル並である。これが重要な研究施設だとは思えない。このロビーから三本の廊下が奥に伸び、ジュリアが一番右を指差した。
伸也と由美はここに残り、何かあったら廊下を進んで階段を昇って知らせることになった。
予定通りの行動である。

 二階へ進むと赤い絨毯の廊下が長く伸び、左右に重たそうなドアーが幾つもある。そのどれかにボディガードの部屋があるはずである。そして突き当たりに頑丈なドアーがあり、そこが研究エリアの入り口である。セキュリテイカードで開けることが出来、変更されていなければジュリアのカードが使えるはずである。ジュリアと昭彦が先に行って扉を開けようとしたがカードは何度試しても受けつけられなかった。
「ボディガードから奪うしかない」
 と達夫は廊下の左右に並んでいるドアーの窓を覗き込むと、一つのドアーを指差して合図した。

 昭彦が近寄り窓から身体を隠しながらドアーを小さくこつんと叩いた。中で人の動く気配がするとドアーが開き男が顔を出した。達夫は素早く拳銃を男の喉に突きつけ、同時に昭彦は催眠をかけようとした。
男は、
「わかった、言う通りにする」
 とあっさり両手を挙げたが、昭彦の催眠は通じない。

 昭彦がゆっくりドアーを開けると中では二人の男がニヤニヤしながら達夫たちを見ている。
「お待ちしていました、やっと来ましたね。セキュリティカードは使えなかったでしょう。これからどうしますか。まぁ、ここまで来たら生きて出ることは無理でしょうね」
 と一番奥で深々と椅子に腰掛けた男がにやりと笑った。
「拳銃を出して、床に置け」
 と達夫が言うと、二人の男はゆっくりと動き胸のホルスターから重そうな拳銃を出して床に置いた。

 昭彦はその様子を注意深く見ながら目の前の男の胸からも拳銃を抜くと、仲間のほうに押し戻した。
「セキュリティカードを出すのよ」
 とジュリアが言うと、一人の男があっさりとカードをテーブルの上においた。

 村木がカードと二人の拳銃を用心深く取るとカードをジュリアに手渡し、まるで映画でも見るように手際よくことが運んだ。
「このくらいでいいでしょう、上手いものです。しかしお遊びはこの辺で終わりにしましょう。私達が普通の男ならこれで大成功と言うところなのですが、残念なことに少し違っていましてね」
 と言いながら一番奥の男が立ち上がり、達夫に向かってゆっくり歩き出した。

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