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研究所(3) [小説 < ブレインハッカー >]

究極の旅―体外離脱者モンロー氏の最後の冒険 究極の旅―体外離脱者モンロー氏の最後の冒険 (単行本)
ロバート A. モンロー (著), Robert A. Monroe (原著), 塩崎 麻彩子 (翻訳)
モンロー氏の著書は3冊あるが、この本が内容的には一番濃い。
前著からの謎が全て解明されており、壮大な宇宙の姿を垣間見せてくれる名著だと言っても過言ではないだろう。
モンロー氏の「旅」自体を信じるも信じないも個人の自由だが、一読して損のない本だと思う。 とにかく面白いから読んでみる事をお薦めする。(レビューより)

 

 

                                        研究所(3)

「止まれ、撃つぞ!」
 と達夫が拳銃を向けると、
「的はここですよ、ここ」
 と自分の左胸を指先で突くようにして見せた。
その自信に満ちた態度に動揺している達夫を見た村木が、
「足を撃て」
 と叫んだ。

 一瞬の間があり、男の表情が変わったかのように見えると、乾いた発射音が連続して三回響いた。男は後方に転がるように倒れ込み動かない。太腿の辺りから煙が少し見え、ズボンに小さな穴があいている。達夫が肩で大きく息をしながら拳銃を残りの二人に向けたとき、倒れていた男がゆっくりと動いて立ち上がった。

「やってくれましたね、ズボンに穴があきましたよ」
 と足を曲げ伸ばしするように動かすと、裾から小さな鉛の塊が三つ落ちた。
「もう一度試しますか」
 と男は達夫を睨みながら近寄ってくる。

 達夫がその圧力に耐えかねてもう一度引き金を引き、村木も昭彦もありったけの銃弾を男達に浴びせた。弾丸の何発かは男達に当たり、その衝撃で後方に押し戻された。
「逃げろ!」
 と達夫が叫ぶと、全員部屋を出て絨毯の廊下を階段に向かって走り出した。

 警報ブザーが鳴り響き、伸也と由美は一足早く出口のドアーを開けようとしたが
びくともしない。
「駄目だ、開かない、ロックされた」
 と伸也が叫んだ。
「他に出口は?」
 と達夫がジュリアに聞くと、
「ここは完全ロックよ、何処からも出られないわ」
 と悔しそうに言った。

 ブザーは鳴り止み、奴らが追いかけてくる気配も無い。その代わりに天井のスピーカーから男の声が聞こえた。
「もう分かったでしょう、私達に銃弾は通用しないのです。そしてここから出られなくなりました。いわゆる袋のねずみですね。これからゆっくり楽しませて頂きます。まぁ、好きなところでゆっくりくつろいでください。それが貴方達の最後の時間になるでしょう。そうそう、言い忘れましたが、貴方達にはモルモットになってもらいましょう。これで実験が一歩進みます。では後ほど会いましょう、ハッハッハッ」
 と言って切れた。

「くっそおー、達夫さんあいつは何であんなことが?」
 と村木が聞くと、
「分かりません、生身の人間ならあれだけの銃弾をしかも至近距離で受けて無事なはずがないのに、奴らは…」
 と口ごもると、ジュリアが、
「研究の成果よ、間違いないわ」
 と言った。
「研究?」
「ええそうよ、あなたの実験が全てのスタートよ。達夫さんは自分以外の細胞にイメージを伝えることが出来たでしょう。細胞の自殺はその究極の出来事だったけど、その続きがあったのよ」

 

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