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第1章24 [宇宙人になっちまった]

「何のためにそんなお節介なことをしたんだ」
 ドクターの語気がまた強くなった。
「それも簡単さ、友達が欲しいんだ。僕たちは進化しすぎてつまんなくなったんだよ。だからね、色々探してこの星を見つけたんだ。でも君たちは未熟すぎて友達になるには少し早すぎたからね、だからちょっとだけお手伝いをしたんだ」
 エフはドクターを見ながら言った。
「バカな生き物をお利口さんにして理想の友達にしようというのか、それはペットと同じだ。自分に似せて作るけど、自分より賢くはしないでうまく利用する気だな。悪いがそれほど人間は忠実でも素直でもない。ペットには不向きだ」
 ドクターは吐き捨てるように言った。
「僕らは全てを手に入れてるからね、利用するなんて面倒なことはしないしその必要もないよ。利用してきたのは君たちだよ」
 エフはいつもの微笑みを浮かべながら言った。
「人間がエフを利用した?」
 ドクターが訊いた。
「そうだよ、僕らはいつも優秀な人間を選んで時々会ってたんだ。ずっとずっと昔からだよ。道具を使うことを教えたのも僕らだよ。そしたら僕らは神様って呼ばれるようになったんだ。君たちはね、神様に言えばどんなことでも叶えてもらえると思ってね、自分勝手なことばかり言い始めたんだ。それでも最初は叶えていたんだ。そしたら君たちの脳は欲張りになるだけでちっとも進化しなくなったんだ。だけど欲張り脳のおかげで君たちの科学は少し僕らに近づくことが出来たけどね。その努力は大したものだけど、結局のところ君たちの欲張りが手に負えなくなったんだ。だから僕らは君たちと関わるのを止めた。分かったかな、君たちは僕らを利用したおかげで便利な生活を手に入れたんだからね」
 エフはドクターを見つめながら言った。最初と変わらない微笑みを浮かべている。ドクターは次の言葉を考えているようだ。円盤を見せられたから説得力があるし、筋も通っているように思える。冷静に考えれば宇宙人が地球を植民地化しようと思えば簡単なことだろう。遙か彼方の宇宙から地球に来ただけでもう勝負はついている。人類に勝ち目はない。そう考えるとエフの言うことは正しいのかも知れない。だがそれなら自分たちと関わる理由が分からない。欲張りな人類を見物していればいいのだ。ドクターはそこまで考えると口を開いた。

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