ネズミ [コワイ話]
あれは、中学生の頃、そう、季節は夏だった。私の実家は、京都北部の山間の小さな村にあり、築100年は過ぎているであろう古家であった。
その夏は例年になく暑く、寝苦しい日々が続いていた。
いつもはさほど気にならない、天井を素早く走るネズミの音も、その日は、いつになく騒がしく、イライラは頂点に達してしまった。
翌日、ネズミの団子と称する毒団子を購入すると、自室の天井にばらまいた。
効果はてきめんで、2~3日もすると、あの気になる音がピタリとしなくなった。
それからまた2~3日が過ぎ、ネズミのことなどすっかり忘れ去ってしまった、ある日の夜。
寝苦しさは続いていたが、それでも以前と比べると、音を気にすることなく床についた。
まだ薄暗い夜明け前だったろうか、なにかの刺激で目が覚めた。
頭がかゆい、それは、異常と思えるほどのかゆみだった。気がつくと、布団の上に座り込んで
夢中で頭を掻きむしっていた。掻けば掻くほど更にかゆみは増し、もうどうすること出来なくなり、「うわぁーー」と悲鳴に似た声を出しながらいっそう指に力を入れた。
20分もそんな風にしていたろうか、夜も白々と明けはじめ、室内の様子もうっすらと見えるようになった。
ふと、膝元にある枕に目を向けると、そこには白いふけが多量に落ちていた。
こんなにふけが・・・・決してふけ症ではなく、普段でもそれほど落ちることはない。
なのに、こんなに落ちて・・・この急なかゆみとふけはどうしたことだろうかと、もう一度ふけに目を向けると・・・・・・・・
うぅぅううううう、、うごいたぁあああ
ふけが動いた!!!
白いふけと思っていたものが、くねくねと動いている!!
その正体をまざまざと、そしてしっかり認識したとき、
家族全員が飛び起き、私の部屋に駆け込んできた・・・・
私は、生涯で一度きりであろう、絶叫!をしたのだ。
枕の上をうごめいていたのは、そう、豚の肌のような色をした・・う・・じ・・む・・・しぃぃぃぃぃ!!
だった。
父がすぐに天井板を外してみると、そこには、体調20cmはあろうかと思われる、
ネズミの死骸。丁度わたしの頭の真上に当たる。
ネズミの毛だけが生々しくその形を残し、中身はまさにウジ虫の塊・・・・
そのウジ虫が、まるでピンポイントで狙ったかのように、板と板の隙間から一匹ずつ私の頭部に正確に落ちていたのだ。
かゆみは私の頭皮にかみついていたのだろう・・・ネズミの死肉を食べ尽くした後で・・
おそろしい・・・ネズミの怨念・・・・
田舎では、ネズミは賢い生き物だから、決して、他のネズミから見えるところで殺してはならないという。もし、ネズミを殺すところを見られたら仕返しをされると・・・・
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