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退行催眠(5) [小説 < ブレインハッカー >]

ハイアー : Higher [ヘミシンク] 
ハイアー : Higher [ヘミシンク] [Soundtrack]
~ MonroeProducts (アーティスト)
ヘミシンク®は、特定の音の周波数を組み合わせることにより、人の意識状態のコントロールを可能にする音響技術です。
この技術は、米国モンロー研究所が開発したもので、既に科学的に証明され、米国において特許も取得しています。いままでに、何十万人もの人々に恩恵を与えている卓越した技術です。

ヘミシンク®は脳の自然の機能を応用しています。私たちの脳は、アルファ波は白日夢を見させ、デルタ波は眠りを支配するといったように、意識の違いに応じて、それぞれ異なった電気的動作(脳波)を作り出します。
ヘミシンク®は脳を活性化させて、現在行いたいと思う動作に必要な脳波を出すことを助けます。例えば、ヘミシンク®の中で、リラクゼーション用のCD/テープは、あなたがリラックスした状態のときの脳波を出す手助けをしますし、何かに集中したい時には、コンセントレーション(集中)用のCD/テープが必要な脳波の発生を助けます。

ヘミシンク®は、音の周波数を何層か重ねることによって安全に脳波を変える手助けをします。
この音をステレオヘッドフォン又はスピーカーで聴くと、あなたの脳は第3の音(バイノーラル・ビート)を出して反応し、希望する脳波の活動を助けます。
ヘミシンク®は、音声ガイド、音楽、ピンクサウンド(意図的に入れられたノイズ音)、その他の音響効果をバイノーラル・ビートと組み合わせることにより、高揚した精神的、肉体的、感情的状態を体験することができます。それぞれのCD/テープの目的となる効果を高めるために、レコーディング時に特定の要素を念入りに選び、適切なヘミシンク®の周波数と統合させております。
  
 
 
                   退行催眠(5)
 目の前に教授がいた。
「気分はどうですか」
 伸也は暫く天井を見上げるようにして考えていたが、やがてすべてを思い出した。
「俺は伊蔵でした。初音も思い出しました。」
教授は、
「まさかとは思いましたが、そうでしたか……」
 と言うと嬉しそうに笑った。
「今日は興味深い事例にお目にかかりました。過去世での夫婦が揃ってやって来るなんて、まだ信じられませんね、だけどあるんですね、こんなことも。いやもしかして、これが当たり前なのかもしれませんがね。なにぶんにもまだまだこの分野の研究は事例が少ないんですよ。退行催眠自体が怪しげなものと思われていますからね」
 由美は気の抜けたような顔をして伸也を見つめていた。伸也も同じように由美をみつめている。
「ねぇ、伸也君が伊蔵だったの?ということは…………私と伸也君は昔から夫婦だったってことなのかしら」
「ああ、そういうことだよね。俺は確かに伊蔵だったよ。そして初音と結婚していたよ」
 由美はようやく我に返ったように、
「うっそー…………伸也君私を騙そうとしてるんじゃないの」
 と言うと、面白そうに笑った。
「俺が騙しているかどうかは先生に聞いてみてよ、俺の見たことは作り話じゃないよ」 
 伸也はそう言うと小野教授の方をみた。
「これが真実なのかどうかを調べるのは余程の根気と時間が必要でしょう。それにもっともっと当時の様子なり、証拠になるようなデーターを集めなければならないでしょう。それに私が大切に考えているのは、事実を確かめることよりも、そのような過去世を体験する精神的な背景を知ることですからね。生まれ変わりについて真面目に研究している学者もいますが、まだまだ市民権を得るには時間がかかるようですね」
 といいながら煙草に火をつけた。紫の煙を気持ちよさそうに吐き出すと、
「正直な感想として言うなら、生まれ変わりはあると思いますよ。きっと二人は過去世で夫婦として暮らしていたんでしょうね」
 そう言うと由美を見て、
「目印は要らなかったようですね、そんなものは無くてもどこかで逢うように出来ているんですよ。出会うと親しみを感じたり、特別な感情を感じるようになるんでしょう。違いますか?」
 と、確かめるように聞いた。
由美は教授のストレートな言い方に少し慌てて、
「ええ、そんな気もしますけど………でも、こうやって顔を合わせていても夫婦なんて感じは全然しないんですよ」
 と弁解するように言った。
小野教授は、
「ホッホッ」
 と上品に笑うと、
「ところで潮見先生、二人の話に出てきた童子というのは、先生が以前研究されていた酒呑童子とは関係ないんですか?」
 と訊いた。
潮見は腕組みをしながら、
「実は私もそれを考えていたんです。大人で童子と呼ばれていた例はそう多くありませんし、話の内容からも酒呑童子と考えることもできますね。しかし、あれは伝説で実在が確認されているわけではないんですよ」
 と言いながら窓の外にちらつき始めた雪を見た。
「あら、雪だわ」
 と由美が嬉しそうな声をあげた。先ほどから降り始めていた雪に気がついていなかったのだ。由美は、頼りなげに空から落ちてくる雪を黙って見ている。雪の降る季節を、今までに誕生日の数だけ見てきた。だけど生まれ変わりがあるとするならどれ程の回数を見てきたのだろうか。そしてその中の何回を伸也と共に見たのだろうか。伸也も黙って雪を見ている。雪の一つ一つが一回の人生のように思えてきた。
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