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その(3) [小説 < ツリー >]

BRITA Maxtra リクエリ COOL 1.1L

  BRITA Maxtra リクエリ COOL 1.1L

 目からうろことはこのことですよ
天然水と変わらず
おいしいです
水道水がここに入ったら
こんなに変わるなんて
思ってもみなかった
コーナンで2480円で買っちゃいました (レビューより)

 

 

                                    第1章 その3

 祐介はしばらく花束やらワインを眺めると、いつものように桜の木に腕を廻し目を閉じた。ざらざらした木肌に体を預けるように密着させていると、皮膚に伝わる堅さとは別の何かが染み込みんでくる。得体の知れないブルーが隅に追いやられてしまうのだ。閉じた視野の中に夜空が広がり、最も奥深い混沌の暗闇から何かがやって来るような気がする。ラジオのチューニングを注意深く合わせるように感覚を尖らせると、瞬く間に視野は閉じてしまい木肌の堅い感触だけが無意味に残る。祐介は伸ばした腕を解くと桜の幹を手の平で軽く叩き大きく息を吐いた。

 いつもこうなのだ。混沌の中に何かを期待するのは馬鹿げていると思うが、一度宿ったしこりが消えない以上永遠に期待するのだろう。麻薬のようだと思った。麻薬のようなしこりが何かに駆り立てる。
 いつもの時間より少し遅く部屋に戻りまた布団に潜り込むと、あの花束とひしゃげた蛙が深い暗闇に浮かんでくる。様々に思いを巡らしている内に意識は薄れ、ぼんやりした感覚の中で桜の巨木に凭れて座る人が見えたような気がした。

 昼頃にメールの着信音で目が覚めた。加代子に違いない。最近は友達からのメールも少なくなり、加代子だけが毎日送ってくる。
『おはよう、起きてる!午後休講だから行ってもいい?』
返信は面倒だからしない。どうせ加代子は来るのだ。大学に入った頃からの付き合いで、付き合い始めた頃はバイトで貯めた金を惜しげもなく二人の旅行やプレゼントに注ぎ込んだ。だからいつも金が無く学業よりもバイトに汗を流すようになった。それが全てだったし当然二人は卒業したら一緒になるものと思っていた。

 四年になってすぐの頃、蛙は突然姿を見せた。アパートのドアを開けた加代子の肩に乗ってやって来たのだ。加代子の嬉しそうな笑顔は見えるが声は聞こえず、口をパクパク開けたり閉めたりしているのが腹話術の人形のようだった。こんな馬鹿げた光景は今まで目にしたことがなく、その馬鹿さ加減に気づかない加代子は性器を丸出しにして尻尾を振りながら町中を歩くメス犬のように思えた。蛙は来る度にその姿を蛇やトカゲなどに姿を変えた。加代子と付き合う楽しみは、その生き物を出来るだけむごたらしい方法で殺してしまうことだった。そして加代子は俺の楽しみに気づかず腹話術の人形のようにパクパク嬉しそうなのだ。

 祐介は布団の中で加代子の肩に乗ってくる生き物を想像した。出来るだけ生命力の強い生き物がいい。しぶとくていつまでも体を痙攣させて死なない生き物がいい。体を痙攣させてぴくぴくする生き物と加代子を重ね合わせるのが一番興奮する。闇の中で上手く重ね合わすことが出来たときは見る見るうちに下半身に血液が集中し、膨張した無敵の武器で加代子と生物を貫き通す。理想のシュミレーションに満足した祐介は夢と現実の狭間を漂いながらまた意識が薄れていった。

 

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