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第1章08 [宇宙人になっちまった]

「コブの不思議その二。コブのほとんどは頭蓋骨の異常だったり、脂肪だったり、普通のおできだったりするんだけど、僕たちは決定的に違うことがあって、それは脳容積が増えていることなんだ。先生は増えた脳細胞がサードブレインになるんだって言ってた。まぁ、簡単に言うと、普通は右脳と左脳があってそれが脳梁で繋がってるんだけど、サードブレインは右でも左でもなくその両方から増殖しているらしいんだ。だから綺麗に頭のてっぺんが膨らんでコブになるんだ。中心の大きさは親指くらいでそれを脂肪が包んでいるんだって。頭蓋骨の一部は軟骨のように変化しているとも言ってた。それがなぜ出来て、どんな働きをするのかをこれから調べるらしいよ」
「なんか、難しくてよくわからないけど、悪い病気じゃないのね」
 夢実は少し疲れてきた。絵里子はベンチから足を投げ出してつまらないサインを出している。浜辺は、夢実や絵里子の様子に気づかず話し続けた。
「悪い病気じゃないと思うけど、でも注意は必要なんだ。これは先生が言ってたんだけど、患者が三人行方不明になっているんだって。家出とか何かのトラブルに巻き込まれたとか、そんな可能性はほとんどないような人ばかりで、まったく足取りがつかめなくて警察も操作の手がかりがないらしい。それがもしかしたら、サードブレインの影響の可能性があるって」
「なにそれ、じゃ、夢実が急にいなくなったりするの?」
 絵里子が急に身体を起こし、浜辺の前に顔を突き出すようにして訊いた。
「いや、みんながそうじゃなくて、そうなる人もいるってことで」
 浜辺は身体を後ろに反らしながら小さな声で言った。
「え、でもそれって確率高くない? 患者数少ないでしょう? どれくらい!」
 絵里子は問い詰めるように訊いた。
「えっと、確か、先生の診た患者の中の数字で、二十パーセント位だろうって」
 絵里子は口をあんぐり開けたまま宙を見ていたが、我に返ってもう一度訊いた。
「ということは、患者が十人いたらそのうち二人は消えるってことよね」

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