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第1章09 [宇宙人になっちまった]

 夢実はぽかんとした表情で二人のやりとりを聞いている。ことの重大さに気づいているのは絵里子だけのようだ。
「だから先生は定例会には必ず来て皆からいろんな話を聞いているんだ。少しでも変わった兆候を見逃さないためだって」
 浜辺は二人を安心させようとして言った。
「夢実、わかった? コブ人の二十パーセントが消えるのよ! 浜辺さんに病院教えてもらって診察してもらったほうがいいわよ」 
 絵里子が夢実を睨むようにして言うと、夢実はその場で浜辺から病院を教えてもらい診察してもらうことにした。当の本人よりも絵里子の方が積極的で、ユニコーン同好会の次回予定日も教えてもらい、夢実は絵里子同伴で出席することにした。絵里子には他に魂胆があるのかも知れないが、夢実は一人で行くよりも安心できる。
 山谷敬一はあれ以来ちょっとした有名人で、高校ではほとんどの生徒がコブのことを知っている。そのことはある程度予測できたし、取り立てて困るようなことはなかった。予想を遙かに超えたのはネットの反響だった。どうやって調べたのか分からないが、通学路にまで敬一目当てのネットユーザーが現れる。いきなり写真を撮って、それほどでもないやと捨て台詞を残して立ち去ることもある。それだって腹は立つが実害はない。困るのは家を訪問されることで、しかも訪問目的が身の上相談のようになってしまっていることだ。その原因だってよくわかっている。陽介がネットにアップした動画が犯人なのだ。癒やしの能力や未来を見通す能力がありそうに仕立ててある。普通はその動画を面白がって見る程度で終わるけど、ごく少数の、何かが特別に弱った人がフラリと家にやってくるのだ。そういう人に限ってネットを駆使して住所を割り出すような能力に長けていたりする。

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