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第2章02 [宇宙人になっちまった]

「こんなに綺麗なのにどうして滅ぼそうとするんだろう」
 浜辺は独り言のように言った。
「どうしてだろうね、僕らはね、僕らの世界から悪魔を追放したかったんだ。色んな事を試してね、完璧だと思ってもね、どこからか現れるんだ」
 エフも地球を見ながら独り言のように言った。
「この円盤で悪魔の奴らを攻撃出来ないの?」
 陽介の声だ。
「僕らは生命を奪うことはやめたんだ。だからね、この円盤に殺す道具は一つも無いんだ。それに悪魔の奴らは形がないからね、殺せるかどうかわからないんだ」
「それじゃ、お手上げってこと?」
 陽介は拍子抜けしたように言った。
「見えない奴らを捕まえることは出来ないけどね、見えているときなら捕まえることが出来るんだ。つまりね、頭を乗っ取っているときなら捕まえられるってことだよ」
 エフは胸を張った。
「捕まえたって頭から出て行かれたらおしまいじゃん」
「そう、だから出られないようにしてやるんだ」
 陽介の言葉にエフはすぐに反応した。
「奴らは姿は見えないけど透明じゃないんだ。細かいだけなんだ。量子レベルの大きさの素粒子や中性子でネットワークをつくってね、それで人間みたいな思考が出来るし感情もあるんだ。まるで空間に浮かぶ高性能なコンピューターなんだ。そう、それでね、奴らを捕まえるにはね、電磁波が使えるんだ。電磁波の影響を受けるとね、うまく思考できなくなって乗っ取った脳細胞に閉じ込められてしまうんだ。わかっているのはこのくらいかな」 エフの説明は難しくて、高校生たちは途惑っているようだ。
「悪魔ってコンピューター? そんなら電子レンジに閉じ込めて殺してやるよ。ちっとも恐くないね」
 陽介は少しふざけていった。

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