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その(5) [小説 < ツリー >]

  CCP インテリジェントロボットクリーナー SO-Zi CZ-901R ホワイト

CCP インテリジェントロボットクリーナー SO-Zi CZ-901R ホワイト  ロボットクリーナーってなかなか手の届かない高嶺の花の商品だと思っていたけど暇つぶしにWEBでリサーチしてみたらこれはマジで安い。それでもって機能も充実してそうなので試しに購入してみた。音はちょっと気になる気もするけど、ん!?よく考えたら、どうせいない時掃除させるもんだから問題ナッシングだ。吸引力は友達の家で使ってるルンバより遥かに高い気がする。とにかくちょこまか動き回って飼ってるネコ(名前はキロロ)ともじゃれ合ってその光景がこれまた愛くるしい程可愛い。うん、これは買って正解の商品だね

                            

                           その5

  「さむいよぉー」
 身体の震えが伝わってきたが、固くなったモノを躊躇無く一気に突き上げると悲鳴を辺りに響かせた。加代子の口から吐き出される白い息が月明かりに浮かび、まるで亡霊のように動いて消えていく。震える加代子の白い尻に爪を立てるとひしゃげた蛙の声が聞こえる。それは加代子の声かも知れないがどちらでも構わない。しぶとく痙攣し藻掻き苦しみあえいでくれればいい。それで混沌の闇の快楽を貪ることが出来るのだ。花束とワインとタバコが踏みつけられて散らばった。                                   

 木に凭れてタバコを吸っている間に加代子は黙って供え物を片づけ、用意してきた物を丁寧に並べて置いた。手を合わせると小さな声で「ごめんなさい」と言うのが聞こえた。
「何をあやまってるの」
「だって、そうでしょう、きっと仏様が怒ってるわ」
「仏様?Hで信心深いんだね」
 祐介は加代子が半年ほど前から大学の怪しげな宗教サークルに時々顔を出しているのをからかった。
「それとは関係ないわ」
「あるさ。Hも宗教も同じだよ」
「違うわよ、絶対」
「でもこれほど人を虜にするものはそうないだろう」
「虜になんかなってないよ」
「俺は確実になってるね」
「それなら私の虜って言い直してよ」
「俺はセックスの虜です。俺はセックスの虜です。俺はセックスの虜です」
 祐介は大声で叫んだ。
「じゃぁ、させてくれれば誰でもいいのね」
「そうでもないなぁ」
「じゃぁ私の虜でしょ」
「まぁそういうことかな」

 会話はそこで終わったが、きちんと置かれたタバコとワインを見ながら会話の続きを考えていた。加代子が好きなのか、それとも加代子とするHが好きなのか、Hの出来る加代子が好きなのか、いずれにしてもHなしでは考えられなかった。男とは所詮こんな生き物だと思えば納得できない事もないが、何かが違って思える。何か重大な欠陥が自分にはあるのかも知れない。心の中にとてつもない大きな穴がぽっかりと口を開けているようで、まるで宇宙と同じなのだ。哀しみの欠片が見えたような気がした。
突然加代子がぽつりと言った。

「私が欲しいのは真実だけよ。宇宙にたった一つの真実。セックスでも宗教でもないわ」
「真実なんて何処にでも転がってるさ、Hの中にも真実はあると思うけどね」
「そりゃぁ、満たされるし幸福感もあるけど、でもそんな風には思えない」
「どこかの宗教では究極の快楽の果てに悟りがあるんだって。もしかしたらエクスタシーと死は似たもの同士かもね。セックスと死は肉体の最大の喜びなんだよ。そして生まれることは最大の苦痛、そんなとこかな」
「死ぬことが最大の喜び?それなら人類はあっという間に滅びるわよね」
「そこが難しい所なんだなぁ。今の俺はHが出来るから生きている。Hが出来ないと死ぬな、俺」
「そんなこと言ってるから変になるのよ」
「いっそこの巨木のようになりたいね」
 そう言うと祐介は身震いした。寒さではなく自分の口から出た言葉に身震いした。誰かに聞かれたような気がしたのだ。急に目の前が真っ白になったかと思うと、スパークのような光が見えた。気がつくと、目の前で加代子が驚いたような顔で口をパクパク動かし白い息を吐き出している。
「大丈夫、どうしたの?」
 加代子が祐介の手を引っ張るようにして言った。
「なんか変だった?」
「目の玉が急に吊り上がったのよ、そして震えていたわよ。昔見た弟の痙攣発作みたいだった。自分で分からなかったの?」
「いや、ちょっと……」
「それって一度医者に行った方がいいと思うよ、早く帰ろうよ」
 そう言うと加代子は祐介の手を強引に引っ張り来た道を戻りかけた。祐介は何か心残りで後ろを何度も振り返ったが、桜の木の大きなシルエットが宇宙に伸びているだけで何も変わりはない。ただ誰かに呼ばれたような感じがして気になった。

 

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