SSブログ

第3章08 [宇宙人になっちまった]

「電磁気力信号の空中伝搬っていえばいいのかなぁ。サードブレインの得意とする能力だよ。夢実さんだってすぐ出来るようになるよ」
「ねぇ、他にはどんなことが出来るの?」
 絵里子が訊いた。夢実や敬一の能力を魔法でも見るように楽しんでいる。
「サードブレインは電磁気力が得意だからね、つまり何でも出来るってことかな」
 エフは得意げに答えた。
「電磁気力って何なの? 難しいわ」
絵里子が不満そうに訊くと、エフは困ったような表情で教えた。
「えっとね、身の回りにある便利な電気製品や道具は全部電磁気力で動いているんだ。とにかく便利なもの全部でいいよ。サードブレインはね、直接コンタクト出来るから。自動車もね、直接話しかけて動かしたんだ。動けって命令するだけだよ」 
「あんなに離れた自動車に命令が届いたってことね、ちょっと怖い。どこまで届くの?」
「どこでもだよ。宇宙のどこにいてもね。青い服の人を動かしてるのは筋肉だけどね、筋肉を動かすのは電磁気力信号ってことさ。脳なんてね、電磁気力信号の塊だからね。サードブレインは感受性も強いけど、量子を使った伝搬力は相当だよ。月の裏側まで届いちゃうかも。悪魔の奴らも量子を使っているからサードブレインを嫌がるんだよ。昔のことはよく分からないけど、もしかしたらサードブレインと悪魔は兄弟みたいな関係だったかも知れない。同じところから生まれて分かれてしまったように思う。悪魔はね、重力が面倒だったんだと思う。だから面倒な身体を捨てて、量子ネットワークだけの生命体になったんだ」
「なんか便利そうだけど私は嫌だわ。何が楽しいのか変な奴らね。あ、だから生き物を殺して楽しんでるのね。でも本心は身体を持ってる生き物が羨ましいのよ、嫉妬だわ。身体を捨てたこと後悔してるに違いない」
 絵里子はそう決めつけると納得したようだ。
「私たちこれからどうすればいいの、サードブレインは完成したようだし。悪魔退治するっていつから? ビーム使えば悪魔のネットワーク壊せるんでしょ。無敵ってことね」
 夢実は学校で悪魔を追い払ったばかりだし、ビームが使えることが分かったから自信満々でエフに訊いた。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ: