SSブログ

第3章09 [宇宙人になっちまった]

「そうだね、でもそれほど甘くはないんだ。もしそうなら今まで苦労すること無かったよ。僕らはネックレスがあるから奴らは近寄れないし、近くに来たって夢実さんの音波だって使えるしビームも効果があるよ。でもそれだけなんだ。ネットワーク壊したって、そのうち元通りさ。だからへっちゃらなんだ。それで油断してたらね、悪魔に乗っ取られた人間に襲われることもあるんだ。車が突っ込んできたり、頭上から何か落ちてきたりね。奴らは僕らがいなかったらやりたい放題さ。もうちょっとで核戦争になるとこだったしね。小さな戦争や小競り合いはいつものことだね。僕らはうんざりして、サードブレインが成長してくるの待ってたんだ。そしたらこの有様で悪魔だらけになっちゃった。このままだといつ核戦争になるか分からなくなっちゃった。君たちの普通の脳がね、もう少し悪魔に抵抗できたらいいのにあっという間に言いなりだよね。やっぱりね、身体があると悪魔が持ってくるおいしい餌に騙されてさ、一巻の終わりだよ」
 いつも笑顔で優しく話してくれるエフが少し苛立ちを見せながら話してくれた。
「おいしい餌って何?」
 絵里子がエフの顔を覗き込むようにして訊いた。
「そんなの簡単だよ、欲を満たしてくれるものだよ。君たちは本当に欲張りだから悪魔のいい餌食だね。笑っちゃうよ。そんなことでこの綺麗な星を潰して欲しくないね。ここはいい餌場だよ。だから悪魔が群がって殺しを楽しんでるんだ、もううんざり」
 エフが本気で怒り出した。
「でもさ、私たちに何が出来るの? いくら追い払ってもどんどんやってくるんでしょ。キリが無いわ。エフは進化した宇宙人なんでしょ、いい方法考えてよ。そりゃね、餌に食いつく人間が悪いんだけどね」
 絵里子は諦めたように言った。自分が餌に弱いことは身に染みて分かっているからだ。
「ねぇ、悪魔の総本部とか、悪魔のラスボスとか、そういう分かりやすいのは無いの? だってさ、悪魔って量子のネットワークが身体ってことでしょ。だったら個々の悪魔もネットワークで繋がってるのよね」
 夢実は窓の外を見ながら言った。夢実のサードブレインは解答に近づいているのかも知れない。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ: