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第3章12 [宇宙人になっちまった]

 エフはそう言いながら身体を動かして見せてくれた。
「それとね、自分の意図した動きをサポートしてくれるよ。だからね、運動能力は相当高くなることも覚えておいてね」
「すげぇ、これで空飛べたらスーパーマンだ」
「空は無理だけどね、できるだけいつも着ていてね」
 エフは少し不安そうに注意した。あの三人組の悪魔はサードブレインを完成させて敬一たちの隙を狙っているかも知れないからだ。近くにいれば円盤のウェーブで見つけられるが行方不明では探しようがない。
「後藤先生からのラインなんだけど、三人が見つかったって。なんていいタイミングなんだろうね。でもそれがね、和歌山でしかも警察に追われてるんだって。製薬会社に忍び込んでいるのが防犯カメラに録画されていたらしい。盗んだ車で移動していることも分かって、逃げた方向も判明したんだって。親のところに警察から連絡があって和歌山に親戚とか知り合いがいないか訊かれたんだって。それからね、三人の顔写真がネットにあったから送るね」
 陽介はそう言うと素早く指を動かしあっという間に送信した。三人ともかなり緩いセキュリティのままネット利用していたようで、個人情報はダダ漏れのようだ。しかし行方不明になってからは一切ネットは利用していなかった。
「なんで和歌山なんだろうね。それに製薬会社に忍び込むなんて、悪魔の操り人形だとしても意味が分からないよ。そうなると潜伏場所は和歌山方面だね。これからどうする?」
 敬一がエフに訊いた。
「取り敢えず奴らはこっちには来ないと思うからしばらく安全だと思う。だけど奴らは和歌山で何かを始めているんだ。次のユニコ会までに僕が和歌山へ行って奴らのことを調べておくよ。ある程度絞り込めばウェーブも有効に使えるからね。とにかくね、奴らの居場所を見つけてから考えよう。何かを企んでいることは間違いないから急がないとね」
 エフは腕組みをしながら言った。敬一や夢実はサードブレインの能力についてもう少し教えて欲しい様子だったが、エフに促されるように円盤から降ろされた。そっと立木の裏の方に降りたから誰の目にも止まらないし、空を見上げても円盤を見つけることは出来ない。いつもだが見事だ。敬一は円盤の存在を当たり前のこととして受け止めているが、知らない人たちからすればどれほど衝撃的なことだろうかといつも思う。

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